東北大学
大学院工学研究科
附属災害制御研究センター
地域防災ゼミ2004 討議メモ 2004/6/15
当日の参加者数 民間企業:16,行政機関:6,大学関係:17
※この討議メモは,聴講者のメモを総合して作成したものです.不適切な点がありましたら(牛山)までお知らせ下さい.
増田聡(東北大学大学院経済学研究科)
「地域防災計画の現状と課題」
- Q.宮城県内の市町村を対象とした調査の中で,充実させたい項目に自主防災組織の結成率が挙げられていたが,従来のシステムの中でどういう部分を自主防災組織に肩代わりさせようと考えられているのか?
- A.システムの一部を肩代わりさせるのではなく,コミュニティレベルの防災への取組が重要なことだといえる.町内会や婦人会、小学校区などが受け皿となり,活動方法をそれぞれ考えていただきたいということであり,弱者支援、炊き出しなどの相互支援ができるよう,これまでなかった取組をコミュニティレベルでつくってほしいということと考えられる.仙台市では自主防災組織の組織率が7-8割と聞いており,防災マップづくりなどが行われているところもあるが,実際の取組は年1回の防災訓練などというところもあり、活動の中身の部分で課題が残る.
小村隆史(富士常葉大学環境防災学部)
- Q.災害図上訓練DIGのやり方や静岡県職員向けの災害対応マニュアルは,他の人が使えるオープンソースになるのか?
- A.DIGのやり方はオープンソースの形でまもなくインターネットに公開される(出版物は発行されている).災害対応マニュアルは県職員向けのクローズなものになると思われるが,行政と行政の間で参考にしてもらうことは可能かもしれない.静岡県に限った形ではなく,学術的な意味を問えるようにしなければならないが,まだ落ち着いておらずその段階にはないといえる.一般に利用してもらえるようなものにしていかないといけない。
- Q.災害対応マニュアルはまだ未完成のようだが,今のところの段階で使ってみて今後ブラッシュアップしていくべきではないか?
- A.マニュアルとして明文化すべきだが簡単な作業ではなく長い時間を要する.災害時の対応においては、県の仕事は7つぐらいのカテゴリに分かれ,100いくつに細かくカテゴライズされると考えている.
- Q.災害対応マニュアルは風水害,地震,火山など災害ごとに用意されているのか?
- A.マニュアルでは東海地震の対応を想定しているが,風水害にも対応できると考えている.たとえば,富士山で宝永噴火のような大規模な災害が起こった場合は,中長期対応には向かないが、初期対応には使えるだろう.
- Q.WebGISのシステムの紹介があったが,普段のインターネット環境でも重く使いづらいシステムは災害時に利用できるだろうか?
- A.技術的なことは分からない.将来的に興味深いと考えているものに衛星写真を使った地図情報の提供があるが,データ量も多く専用の端末を必要とするなど,まだ利用には課題も多い.
- C:岐阜県ではすでに衛星画像をベースマップにしたwebGISが公開されており,どのように活用されているか興味が持たれる.
- Q.防災情報支援システムには被害情報をどこの機関が入力するのか,また誰でも入力することができるのか?
- A.情報は各機関が打ち込める形となっている.また,各機関以外にも,教育を受けた人を入力資格保有者としてネットワーク化しておくこともよいと考えている.なるべく多くの情報が得られれば,判断材料として活用できると思われる.
- Q.今後,新しい防災情報支援システムの情報を行政は頼りにすることはできるか?
- A.まだ運用していないので現実がわからず未知数な部分も多い.使い勝手の問題や機能を発揮できるかはまだわからず,運用開始を待つことになる.