東北大学 大学院工学研究科 附属災害制御研究センター
地域防災ゼミ 話題提供要旨 2003/05/13

津波研究の現在と今後



今村文彦(災害制御研究センター)

 近年の数値解析技術やコンピュータ性能の向上により,さまざまな現象が再 現・予測できるようにてきた.津波に関しても初期条件が与えられれば,伝播 から遡上までの現象を精度よく再現・予測出来るようになり,気象庁による量 的数値予報や各地での津波予測マップ作成などに利用されている.現在,内閣 府による中央防災会議東南海・南海地震等に関する専門調査会からの発表があ ったように,各地での地震(強振動,地滑り)や津波の被害を推定および評価 がされるようになってきている.ここでは,調査会が行った評価手法と結果を 紹介する.  なお,被害の推定は可能になってきたが多くの課題もある.特に,情報伝達 や避難行動が重要である人的被害の推定に関しては,検討すべき項目や不確実 な点が多くある.また,地震・津波などの外力が我々の持つ防災力を上回った 際に発生するので,社会の防災力の評価も不可欠になる.さらに,変貌する現 代社会において,将来の被害はどこまで予測可能かを検討していかなければな らない.